故原田正純さんの生き方、漫画に 鹿児島県さつま町が発行 現場重視、水俣病患者に寄り添う

熊本日日新聞 2024年5月5日 18:35
漫画「医師 原田正純物語」を発行した鹿児島県さつま町の中山春年教育長(中央)ら=4月17日、水俣市
漫画「医師 原田正純物語」を発行した鹿児島県さつま町の中山春年教育長(中央)ら=4月17日、水俣市

 鹿児島県さつま町は、郷土ゆかりの人物を紹介する「マンガふるさとの偉人」事業で、水俣病に向き合い続けた医師の故原田正純さんの物語を発行した。町は「現場の事実を重視し、弱者に寄り添い続けた原田先生の生き方を子どもたちに伝えたい」としている。

 原田さんは1934年生まれ。45年7月の熊本大空襲で母を亡くし、鹿児島県宮之城町(現さつま町)の祖父母に引き取られた。小学校高学年から中学校卒業までさつま町で暮らした。

 漫画「医師 原田正純物語」はB6判106㌻。原田さんが患者宅を1軒1軒訪ねる中、ある母親との会話をきっかけに「胎盤は毒物を通さない」という医学の常識に疑問を持ち、母親の胎内でメチル水銀の被害を受けた「胎児性水俣病患者」の存在を明らかにしたエピソードを軸に生涯を描いた。

 漫画は、原田さんの功績を分かりやすく伝えようと企画。B&G財団(東京)の「マンガふるさとの偉人」事業の助成金を活用し、3千部制作した。町内の小中学校や図書館に配るほか、町ホームページへの掲載も検討する。

 原田さんは生前、母校の平川小での講演を楽しみにしていたが、病が悪化してかなわなかったという。中山春年教育長は「作品を通して、故郷を大切に思う気持ちも育んでもらいたい」と話す。原田さんの長女利恵さん(55)=水俣市=は「権威が嫌いだった父は『ふるさとの偉人』と持ち上げられるのは嫌がったかもしれない。でも、漫画の主人公になり、さつま町の子どもたちに会えることは喜んでいると思う」と話した。(久保田尚之)

RECOMMEND

あなたにおすすめ
Recommend by Aritsugi Lab.

KUMANICHI レコメンドについて

「KUMANICHI レコメンド」は、熊本大学大学院の有次正義教授の研究室(以下、熊大有次研)が研究・開発中の記事推薦システムです。単語の類似性だけでなく、文脈の言葉の使われ方などから、より人間の思考に近いメカニズムのシステムを目指しています。

熊本日日新聞社はシステムの検証の場として熊日電子版を提供しています。本システムは研究中のため、関係のない記事が掲出されこともあります。あらかじめご了承ください。リンク先はすべて熊日電子版内のコンテンツです。

本システムは「匿名加工情報」を活用して開発されており、あなたの興味・関心を推測してコンテンツを提示しています。匿名加工情報は、氏名や住所などを削除し、ご本人が特定されないよう法令で定める基準に従い加工した情報です。詳しくは 「匿名加工情報の公表について」のページ をご覧ください。

閉じる
注目コンテンツ
水俣病