令和の高校生が語る漱石「録れ高ありすぎ」 熊日電子版で〝復活〟FMKラジオ「アイラヴ漱石先生 朗読館」 出演者が語る裏側とは
熊本県内の高校生らが夏目漱石の作品を率直に語り合ったエフエム熊本制作のラジオ番組「『アイラヴ漱石先生』朗読館」(2022年10月2日~23年2月12日、全20回)が、熊日電子版で3月1日からテキスト版で〝完全復活〟する。音声も同時に楽しめるラジオと新聞のコラボ企画。番組の進行と朗読を担当したパーソナリティーの本田みずえさん(57)と、元高校の国語教師で解説を務めた西口裕美子さん(62)に制作の裏側を語ってもらった。(立石真一)
─生徒たちの等身大の言葉が印象的な番組でした。
西口さん「最初に本田さんが『休み時間に教室で話すような収録の雰囲気がいい』とおっしゃって、それが生徒に伝わるように心がけました」
本田さん「日曜朝の番組で授業の雰囲気だとやっぱり固い。先生と生徒がフランクに雑談している感じが伝われば、リスナーも楽しく聴けるかなと思ったんです。生徒が発する『生の言葉』を西口先生に引き出してもらいましたね」
─タイトルになったガイドブック「アイラヴ漱石先生」は今年の熊日出版文化賞を受賞しました。毎回の作品はどうやって決めたのですか?
本田さん「生徒自身に選んでもらったんです。申し込み順に第3希望まで出してもらいましたが、そこでも個性が垣間見えました」
西口さん「読みやすい作品が多い中、あえて難しいテーマに挑戦する生徒もいたおかげで、全体を通して内容は深くなったと思います。どの回も本当に印象深いんですけど、例えば『文鳥』(第8回)は何度も聞き直しましたね。生徒のきれいな声が作品とマッチしていて、すてきだった」
本田さん「私は初回の出来があまりに良くて、そこで番組の方向性が一気に固まったことを覚えています。『一夜』(第10回)の生徒さんは、ラジオ出演の様子を後日漫画にしてくれて、それがとても面白かったんで、驚きました」
─漱石の作品は高校生たちにどう受け止められたのでしょうか?
西口さん「作品が生徒の興味関心を揺さぶっていたように映りました。何度か同じ題材を扱った回もあったけど、生徒それぞれの感性で放送は全然違う内容になったので、私たちも楽しかったです」
本田さん「登場人物の好き嫌いとかについて語る時、生徒が『ちょっとイタい』とか『そばにいたらウザいかも』みたいな捉え方をしていて新鮮でした。令和の高校生なりの感想ですね。番組を聴いていただければ、作品を知らなくても生徒たちのやりとりを楽しんでもらえると思います」
─収録で印象に残っていることは?
西口さん「生徒それぞれが自分の関心がある分野を踏まえて読んでいるのが良かったですね。授業だと生徒たちがどうしても答えを導こうとしてしまうから」
本田さん「収録は打ち合わせ込みで1時間程度ありましたが、トーク部分は毎回約8分半に編集したんです。〝録れ高〟がありすぎて、泣く泣くカットしましたね。現代を生きる高校生の素直な言葉を楽しんでほしいです」
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