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創作活動で脳活性化 認知症の改善に効果
認知症(痴呆症)の予防や改善につながるとして、音楽や園芸などと同様に注目されている「アート」。熊本市御幸笛田の介護老人保健施設「ぼたん園」では3年前から、県内でただ1人の准臨床美術士が認知症のお年寄りを対象にした創作活動の教室を開いている。創作意欲が増し、表情が豊かになるなどの効果も出ているという。
臨床美術士洲崎萠さんの指導でカレンダー作りに取り組むお年寄り=熊本市の介護老人保健施設「ぼたん園」
認知症のお年寄りの創作作品
=熊本市の介護老人保健施設「ぼたん園」
「好きな色を選んでください」。准臨床美術士の洲崎萠さん(46)が、お年寄りの前に色用紙を並べた。この日はカレンダー作り。選んだ色用紙の中央に暦をはってもらうと、細かく切ったさまざまな模様の包装紙を机の上に広げた。「周りの空いたところに、色や模様を考えてはってください」。思い思いに仕上げたカレンダーはどれも立派な芸術作品。洲崎さんは一人ひとりに「きれいにできましたね」と声を掛けた。
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具象よりも抽象
洲崎さんは美大卒。日本臨床美術協会認定の准臨床美術士の資格を生かし、認知症のお年寄りを対象に、脳の活性化を促す創作活動を提案している。
教室の生徒は、併設する病院の患者を含め約80人。ある程度コミュニケーションが取れることが受講の条件になっている。施設の職員1人が手伝い、一度に5人程度ずつを指導する。
教室で取り組むのはリリアンやビーズなどを並べる抽象画風の作品や、造花をオアシス(保水性スポンジ)に刺して紙で包んだブーケなど。毎月洲崎さんが考える。どの作品も手や指先の力が弱くても作ることができ、記憶できないという認知症の症状を考慮し1回の教室(40分―1時間)で出来上がる。
「絵を描くのは苦手な人もいるのであまりやりません。誰でも簡単にできて、展示会に出せるほど芸術性の高い仕上がりになることが大事。出来上がりの優劣がつきやすい具象は避け、誰でもそれなりの仕上がりになる抽象を選ぶのがコツです」と洲崎さん。
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批評せず、ほめる
【臨床美術士】
NPO法人日本臨床美術協会
(東京)の認定資格。絵画や彫刻、陶芸などのアートを楽しみながら、認知症(痴呆症)を予防し、症状を治療・改善するという「臨床美術療法(クリニカルアート)」に医師や専門のカウンセラーと連携して取り組む。1級から5級まであり、3級以上が臨床美術士で、4級以下が准臨床美術士。
指導中は声掛けだけで、決して手伝わない。色が多すぎて選べないお年寄りには、選択肢を少なくするなどサポートにとどめる。作品は批評せずに「きれいですね」「よくできましたね」などとほめる。教室に通う女性(87)は「きれいにできるから楽しみ。孫もすごいと言ってくれます」。のりがうまく塗れるようになるなど、身体機能が向上した人もいるという。「アートには出来上がった時の驚きと喜び、達成感がある。作品は居室や車いすなどに飾るので、職員や家族、入居者などそれを見たいろんな人にほめられ、また作りたいという意欲につながっている」と洲崎さん。
同施設の富島三貴理事長は「創作活動には、認知症の改善効果だけでなく気持ちを豊かにする効果もある。今はまだ療法ではなくアクティビティー(活動)の域かもしれないが、音楽や園芸などさまざまな療法の選択肢の一つとして提供していきたい」と話している。(田川里美)
(熊本日日新聞2005年5月31日付朝刊)
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