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「映像メディア漬け」に警鐘 熊本市でNPO講演会
映像メディアが子どもたちに与える影響について語る宮本さん=熊本市の龍田公民館
テレビやビデオなどの映像メディアやテレビゲームに子どもたちが長時間接することの問題点が指摘されている。福岡市のNPO「子どもとメディア」の宮本智子常務理事(45)がこのほど、子どもの心身の発育に与えるメディアの影響などについて熊本市で講演。メディアが子どもの心や体に与える影響について警鐘を鳴らした。
同講座は、NPO「県子ども劇場連絡会」と、会場を提供した熊本市龍田公民館が共同開催。乳幼児ら抱えた若い母親ら約20人が参加した。
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大切な「前頭前野」
最初に宮本さんは、メディアが乳幼児期の成長発達にどう影響するかについて述べた。テレビを見ながら授乳することが子どもの心の育ちに与える影響のほか、脳の発育への影響にも触れた。
問題とされたのが、テレビゲーム中に、子どもの脳の「前頭前野」がほとんど活動していないという点。前頭前野は相手への思いやりなど人間の心をコントロールする。「前頭前野の脳神経は3歳と10、11歳のころに急激につながる」と宮本さん。「特に3歳までに子どもがどのような環境で、どんなことを体験するかで成長発達が大きく違ってくると思う」と、乳幼児期の環境の大切さを強調した。
10時間以上も同じビデオを繰り返し見続けていた2歳児の例などを挙げ、「お母さんはおとなしくテレビを見ている子を良い子と思うかもしれないが、子どもにとっては不幸なことが起きている」と指摘した。
懸念される影響は乳幼児期ばかりではない。宮本さんは昨年10月に実施した子どもへのメディアの影響調査で、小中学生がテレビやビデオ、テレビゲームに接している時間が年間1825時間に上るという結果が出たことを報告した。同調査は福岡県内の小学生1053人、中学生1090人、高校生731人、大学生567人を対象にした。
「小中学校の年間総授業時間数が1100時間程度。その1・5倍の時間、子どもたちは何らかのメディアの前で過ごしている」と宮本さん。
メディアへの接触時間の長さが、子どもたちの体に与える影響も指摘した。「テレビなどの視聴時間が6時間以上の子どもたちに、極端な背筋力の低下が見られた」。宮本さんは「自分の体重に対して介護では2倍、子育てでは1・5倍の背筋力がないとできないといわれている。しかし、調査では中学3年の男女とも平均の数値がそれぞれ体重の2倍、1・5倍に届かなかった」と報告。「テレビの前に座っているだけという生活が体の発達に悪影響を及ぼしている」と話した。
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仮想現実と混同
さらに小中学生らが多くの時間を費やしているテレビゲームの中の暴力描写についても注意を促した。
宮本さんは、1999(平成11)年に米・コロラド州で発生した高校生2人による銃乱射事件や2004(平成16)年に長崎・佐世保市で起きた小六女児事件を取り上げた。「テレビゲーム漬けの生活の中で現実と非現実の混同が起こり、切ったら痛い、血が出たら痛いという感覚が分からなくなっている」と宮本さん。「インターネットを通じて無料のゲームが手に入ることは、小学校高学年ならだれでも知っている。IT教育ではそうした怖さも教えていかないといけないのではないか」と訴えた。
最後に宮本さんは、メディア漬けの生活から脱するために、
▽テレビを見るときはつける、見ないときは消すということを習慣にしよう
▽乳幼児への影響が大きいので、3歳まではテレビを見ない取り組みを広げよう
▽テレビを見たら、その倍以上の時間、友達と遊びや自然体験をさせよう
などと提案した。
(熊本日日新聞2005年11月3日付朝刊くらし面)
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