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混乱続く後期高齢者医療制度 なぜ75歳以上なのか
「新老人の会」熊本支部世話人代表 小山和作さん
「健診と保健指導で医療費の伸びが抑えられた町もある」と話す小山和作さん=熊本市(小野宏明)
◇こやま・わさく 日赤熊本健康管理センター名誉所長。同センターの設立に尽力、初代所長として「健康長寿」を訴え、予防医学の発展に力を注いだ。
  「なぜ年齢だけで差別するのか」・・・後期高齢者医療制度の混乱が続く中、七十五歳以上という年齢線引きに批判が上がっている。七十五歳以上を中心とする「新老人の会」熊本支部の世話人代表で、元日赤熊本健康管理センター所長の小山和作さん(76)=熊本市=も疑問を投げ掛ける一人。当事者でかつ専門的視点から、なぜそう考えるのか尋ねた。

 小山さんが今春から熊本の代表となった新老人の会は、聖路加国際病院=東京都中央区=の日野原重明氏(96)が設立。熊本支部は二〇〇六年にでき、会員は約二百人。老後の自立などを目標に活発に活動する。直近では今年五月、平均年齢七十八歳の同会メンバーが舞台劇「医聖宗巴[そうは]は立ち上がる」を熊本市民会館で演じたのが記憶に新しい。

 「脚本も演出も出演も裏方もみな会員。最初は二の足を踏んだが周りに背中を押され、本気になった。次の世代に私たちの思いを伝えるのも『新老人の会』の使命だと思った」と小山さん。

 高齢だが元気で、活発な会員が多い。それだけに、年齢で線引きする新制度への思いは複雑だ。「私たちが目指しているのは、元気高齢者をつくろうという運動。一方で新制度は七十五歳以上は病人で高い医療費を使う人と、決め付けているようでふに落ちない」

 新制度の導入に伴い、七十五歳以上の健康診査は事実上、縮小された。現役世代と同じ特定健診・特定保健指導が受けられるのは七十四歳までとなった。

 小山さんは言う。「かつて県内のある町では、健診と保健指導を徹底して行った結果、高齢者の医療費の伸びが抑えられたという実績がある。健診は自分の健康づくりの最初のきっかけづくり。七十五歳以上を対象から外すということは、適当に早く逝けということなのか、という不満も出てくる。年齢で健診を差別すべきじゃない」(田端美華)

●イメージ変えてやろうじゃないか= 「新老人の会」熊本支部世話人代表の小山さんが、後期高齢者医療制度に関するエッセーを寄せられました。一部抜粋で紹介します。

 イベントが引けて、みんなはエレベーターの方に小走りに進む。最後の一人が乗った時、「ブー」とブザーが鳴る。扉が閉まらない。みんなはその人に降りてほしいと目で要求している。ついにその人は「すみません」と言って外に出る。エレベーターは無残にもその人を積み残して扉を閉めて降りていく。その最後の人はみんなより少し年をとっている。(中略)

 後期高齢者は今、お荷物になっているようだ。あなたは重たいから降りて欲しい、隣にエレベーターを特別に用意するからそれに乗ってくれと言う。降ろされた後期高齢者は隣のエレベーターを待つ。扉が開くとお年寄りがぎっしり詰まって乗っている。(略)  脳卒中フロア、認知症フロア、地下までいくとそこは霊安室フロアだ。慌てて健常者フロアはないかとボタンを押すが行き先は見当たらない。どこからともかく「あきらめなさいよ、あなたは年なんだからと」と聞こえてくる。

 なぜ、年齢だけで差別するのか。なぜ、年を取ると病人扱いにするのか。そこで思い立った。そうだ! このエレベーターに乗った人たちみんなで元気になろう。力は少し無いが知恵はある。やる気さえあれば何でもできる。世界の老人のイメージを変えてやろうじゃないか。

 ※同会熊本支部の問い合わせはTEL096(358)4141。

 (熊本日日新聞2008年8月8日付朝刊)
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