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ほくろの「がん」 メラノーマ 拡大鏡で楽に識別
発症初期で皮膚表面
デジカメに装着したダーモスコープ。患者も画像を見ることができる=熊本市西原の影下皮膚科クリニック
 ほくろのがん「メラノーマ(悪性黒色腫)」は致死率が極めて高い。白人に多い病気だが、最近では日本人にも増えているという。メラノーマと良性のほくろを拡大鏡で見分けるダーモスコープ検査が、今年四月から医療保険の対象となった。痛みもなく、熟練した専門医だとすぐに結果が分かる。検査費は三割負担でも百円以下だ。

 メラノーマは転移すると五年後の生存率が低く、がんの中で最も悪性と言われる。国際メラノーマ研究学会員で影下皮膚科クリニックの影下登志郎院長(前熊本大助教授)は「ほかのがんより転移しやすい。しかも抗がん剤や放射線治療の効果が少なく、いったん転移すると手のつけようがない。早期発見して手術するのが何より大事」と話す。影下院長は、側頭部にメラノーマが見つかった七十代の男性の治療に当たったことがある。手術で切除したが、すでにリンパ節に転移。一年後には下あごから胸まで広がり、その後、肝臓などにも転移した。

 メラノーマは、メラニン色素をつくる色素細胞が、紫外線など外部からの刺激を受けてがん化することで起きる。一九七〇年代から急速に増え、世界保健機関(WHO)は今年七月、世界の年間死亡者が六万人を超えたとして、各国に早急な紫外線対策を呼び掛けている。

 欧米では十万人に二十〜三十人の割合で見つかる。顔や手足など体の広い部分で発症する。一方で日本人は十万人に一、二人と少ない。頻発する場所も足の裏や爪などと決まっているので、注意すべき場所を絞り込むことができる。しかし「ライフスタイルの西洋化で、最近は日本でも顔や手足などにできる例が目立つ。患者数も増えているようだ」と影下院長。同クリニックでは開設からの二カ月で三人のメラノーマ患者が見つかった。

 どんなほくろが危ないのだろうか。影下院長によると、中年以降に新しくできたり、急に大きくなったものは要注意だ。形や色がいびつだったり、出血するものも良くない。しかし、肉眼で正確に識別するのは、専門医でも難しい。

 メラノーマの組織検査は、ほくろ全体を切り取って調べる。一部分だけにメスを入れると、がん細胞がばらばらになって転移する危険性があるからだ。大きな傷跡が残ることもあり、顔や頭部だと躊躇(ちゅうちょ)しがち。

 影下院長が勧めるのが筒状の拡大鏡・ダーモスコープを使った検査。ゼリーや偏光レンズで、皮膚表面の反射光を取り除く工夫がしてあり、ほくろの形を詳しく観察できる。メラノーマには特有の形や色むらがあり、熟練した医師だと「メラノーマの危険があるほくろ」と「正常なほくろ」を識別できる。レンズをのぞくだけなので、一度の来院で数カ所の検査も可能だ。

 デジカメに装着できる機種もある。影下院長は撮影した画像を、パソコンで患者に見せている。「がんではないと伝えても、患者さんの不安は消えないもの。でも、画像を見ると納得して安心してもらえる」

 予防には、日焼け止めクリームが効果的。影下院長は「日差しが強いときは長そで、長ズボンの着用を」と呼び掛けている。(梅野智博)

 (熊本日日新聞2006年10月4日付朝刊くらし面)
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