くまにちコム:熊本のニュース速報なら熊本日日新聞

テキスト版サイトマップ 検索


くまにちコムトップ > ビエンナーレKUMAMOTO Ⅳ


ビエンナーレ

思い、個性…アートに昇華 入賞・入選111点の作品展
26日~12月7日、県立美術館本館

入賞
 
グランプリ・熊日賞
「りんごのかおり」
平面(油彩、129×192センチ)
大森キミ子(64)=熊本市
 
準グランプリ
「野焼」
平面(シルクスクリーン、108×108センチ)
廣澤仁(32)=東京都小平市
熊本県賞
「energy tubeの変容-蛙」
立体(ステンレス、125×157×58センチ)
末田龍介(80)=小国町
 
熊本市長賞
「今、この地より立つ」
立体(石膏・FRP・木材、100×92×159センチ)
竹下友基(26)=合志市
県文化協会賞
「旅の途中」
平面(墨、164×92センチ)
田鶴濱洋一郎(59)=東京都武蔵野市
 
熊本放送賞
「いずこへ」
平面(油彩、161×161センチ)
鈴木尚(64)=福岡県北九州市
熊本ロータリークラブ賞
「荒草の詩“共生”」
平面(油彩、162×194センチ)
木寺渡(52)=宇城市
 
奨励賞
「道(ROAD)」
立体(鉄、44×81×78センチ)
藤本高廣(50)=大津町
奨励賞
「言葉の海へ」
立体(青御影石、169×170×14センチ)
藤本イサム(62)=兵庫県朝来市
 
奨励賞
「創る人」
平面(油彩、162×131センチ)
相馬正道(70)=菊陽町
奨励賞
「飢える者」
平面(油彩、183×163センチ)
小山文雄(66)=玉名市
 
奨励賞
「八 足」
平面(版画、198×169センチ)
東島哲(28)=佐賀県武雄市
総評 酒井忠康氏 世田谷美術館長
素直な気持ちのよさ評価
 過去と比べて洗練された半面、野性的なエネルギーを失ったような気がした。上空から俯瞰(ふかん)した構図など、人間の肉体的な視覚を超えた作品が見受けられ、映像、IT時代の影響がうかがえたが、それがきちんと消化されていないのだろう。作品に戸惑いとためらいが感じられた。
 そんな中、上位2点はいずれも素直で気持ちのいい作品だった。グランプリは絵を描き、感じる楽しさ、美術の原点を思い起こさせた。「遊びにおいでよ」とでも言いたげな思いが伝わってくる。準グランプリも声高に主張するのではなく、ささやかな時間の豊かさを感じさせ、おおらかで風通しがいい。
 上位2点は絵画に譲ったが、彫刻は全体的に水準が高く、甲乙つけがたかった。
●審査員評

時空超えた不思議さ 建畠 晢氏 国立国際美術館長
 全国規模の公募展だが、熊本と近隣からの作品の水準が高く、全体のレベルを引き上げた。近年は時代状況を反映する傾向に縛られず、個性豊かで多極化する方向にある。特にグランプリは感覚的な不思議さが際立った。時空を超えたフィールドへ我々を救済してくれる実にユニークな作品。県賞の立体は、数学的でメカニカルな美しさと同時に、生命感のある有機的空間を生んだ。技術も伴って完成度が高い。


フレッシュな感性を 柳澤紀子氏 版画家
 九州での審査は初めてで、海に囲まれた風土がもたらす開かれたパワーを感じた。ただ、形式化した作品が多かったのが残念。フレッシュな感性が欲しい。その中で、グランプリは自分の感動を描こうという絵画の原点が感じられた。準グランプリは層を重ねる版画の特性を生かし、下層のオレンジや銀色を効果的にのぞかせている。立体では、空間の広がりをうまく表現した県賞を評価したい。


意外性に衝撃 平松礼二氏 日本画家
 初めての審査だが、平面、立体とも構想力と技術力の高い水準に驚いた。その中で、グランプリは意外性に衝撃を受けた。公募展では色で個性を主張しがちだが、白を基調に色をしぼり込み、うまく使いこなしている。準グランプリは日本画や洋画にも負けない表現力。日本画では県文化協会賞がモダンな水墨画の趣で目を引いた。立体は熊本市賞の彫刻が出色。作者の若いエネルギーを感じた。


悩んだ痕跡魅力に 古家良一氏 県立美術館学芸課長
 自らの表現をどう情報化するか、苦心の跡がうかがえた。グランプリは白を見事に使いこなし、対話したいと思わせる。男性にはない感性を感じる。立体は、現代性を持たせようとする姿勢が生んだ「硬さ」が逆にほほ笑ましかった。コンピューターを利用するのも現代美術の一表現だが、手描きの良さもある。書くことで生じる摩擦や内面の葛藤(かっとう)を感じてほしい。悩んだ痕跡が見える作品は魅力がある。

 
熊本日日新聞 2008年11月21日朝刊掲載



個人情報保護方針著作物の利用についてお問い合わせ

↑このページの先頭へもどる


「くまにちコム」に掲載の記事、写真等の無断転載は禁じます。著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。

Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun