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くらしの工芸展2008

審査員評

●個性と楽しささらに 小川哲男氏

 技術的なレベルは上がったが、全体的に個性が乏しく感じられた。そんな中でグランプリは作り手の思いを感じさせるユニークさが目を引いた。形は平凡だが、色と模様が一つ一つ違うのが面白い。楽しく使えそうな器で、くらしの工芸展らしいグランプリを選ぶことができた。技術的には未熟でも、思いを込めて一点一点作ることで作品に個性が表れ、楽しさにつながる。そんな姿勢が高校生の作品に見受けられたのがうれしかった。

●使い手の視点増えた 富山弘基氏

 染織は全体のレベルが上がっている。これまでは自分の趣味を前面に出した作品が多かったが、使う側に立ったデザインや色使いが増えてきた。手描き、型染、かすり織りなど技法も多彩。染織で最上位に入った熊本市賞は、色の組み合わせに優れていた。特に花びらのピンクは、染織に必要なつやっぽさがある。私の奨励賞は、派手な柄を座布団カバーにするという若い感性を推した。型染めで細部まで丁寧に仕上げてある点も評価できる。

●出品多彩楽しく審査 荻野克彦氏

 「作る楽しさ」と「生活への提案」という2つの伝えたいことを結び付けた作品が多く楽しく審査できた。出品分野が多彩で漆や石、象がんなどに新しい試みがあったことも収穫。木工では高校生のまじめな作品や、使いやすさや収納の細部までこだわったプロの仕事が目についた。私の奨励賞は手仕事の味わいを残しながら、確かな技術で美しく仕上げている。上位はほとんど差がない。グランプリはテーブルを明るくしてくれる楽しい作品。

●用途、アイデア融合を 宮崎珠太郎氏

 作品の完成度は例年より高かった。ただ、作者の個性が感じられるものが少なく、横並びの印象。使い道とアイデアが融合した新しい挑戦を見たかった。その意味で、グランプリは用途とデザインが合致している。珍味やすしを思わず盛りたくなる形と柄、色のバリエーションが良い。私の奨励賞は、いい材料をいい技術で仕上げていて評価した。自己満足に終わる作品も目についた。多くの人に使ってもらうことを、もっと意識してほしい。

2008年10月22日朝刊掲載



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