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くらしの工芸展2009

審査員評

●「夢の世界」表現を 富山弘基さん(京都伝統染織学芸舎主宰)

 くらしの工芸展の趣旨にふさわしく、生活工芸の用をなすとともに造形美を備えた品が増えた。染織は高い技術の力作ぞろいだったが、個性を前面に打ち出した作品が少なかったのが残念。そんな中で、熊本市賞は野趣を帯びた板締め絞[しぼり]が想像力をかき立てる。私の奨励賞は紅型[びんがた]に表現した細やかなデザイン技術が秀逸だった。創作には使い手の一歩か半歩先をいく世界を見せることが大事。作り手の役割を意識しながら「夢の世界」を作品に吹き込んでほしい。

●若手成長頼もしい(小川哲男さん 陶芸作家)

 突出した作品は少なかったが、毎日使えるような身近な生活用品が多く、使う側の心を大事にする姿勢が感じられた。県伝統工芸館賞は渋く落ち着いたデザインの盛り皿で、金の線のアクセントが効いている。角が丸くなった形も光り、レベルが高い作品。私の奨励賞は赤い土の味わいが表に出て、嫌みのない崩した形も優れている。ほかの入賞・入選作も含め、若いプロの秀作が目立ち、熊本の工芸界を担っていく人材が育っていることを頼もしく感じた。

●日常の楽しさ充実 荻野克彦さん(プロダクトデザイナー)

 効率重視ではなく、日常をゆっくり楽しもうというメッセージ性を込めた作品が多く、充実していた。作り手の気持ちが形状や丁寧な仕事ぶりに表れていた。熊日賞は見た目の柔らかさと座り心地が両立し、日本人の生活様式にちょうどいい。私の奨励賞は細やかなコバルトの線が見事で、和室や洋室、どこに置いても調和する。県伝統工芸館賞は大胆な中に、計算された繊細さが光る。堅実な生活道具を発表する場にふさわしい作品が出そろった。

●全体のレベル向上 宮崎珠太郎さん(竹工芸家)

 みんな仕事が上手になり、完成度が上がったと感じる。熊日賞の中根さんや県伝統工芸館賞のローゼンさんのように、過去の入賞経験者が続けて出品することで、全体のレベルを引き上げている。工芸も県伝統工芸協会賞のバッグをはじめ、完成度の高い作品が多く、手慣れすぎている印象さえ受けた。私の奨励賞は決して目新しいかごではないが、セオリー通りにきちんと作った点に感心した。新しさという点では、県賞の肥後象がんが印象に残った。

2009年10月29日朝刊掲載



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