山鹿市の八千代座で五日開かれた「地域とともに こんにちは熊日です」。パネルディスカッションでは「湯の恵みと伝統文化を生かしたまちづくり」をテーマに、パネリスト五人が山鹿の未来への思いを語った。
パネルディスカッションを聞く来場者ら=5日、山鹿市の八千代座(植山茂)
中嶋憲正市長(57)は「地域をつくるのは人。菊池川流域など周辺地域との連携を深めながら、鞠智城の国営公園化や九州新幹線開業へ向けて、官民一体で取り組んでいきたい」と述べた。
米をキーワードに山鹿の街をめぐる米米惣門ツアーを主宰する井口圭祐さん(54)は「地域の宝は種のまま埋まっており、生かすのはその土地に住む人々。三年後に百年を迎える八千代座を参考にして、今後、何を残していくのかを考えていきたい」と語った。
大正、昭和初期に建てられた山鹿小の正門、旧衛生室の保存運動を展開する、県建築士会山鹿支部まちづくり景観研究部会代表の福山博章さん(47)は「古い建物を調べると、当時の人たちの思いをひもとくことができる。先人が喜んでくれるようなまちづくりを進めていくことが大切だ」と訴えた。
山鹿灯籠踊り保存会副会長の池田里香さん(32)は「灯籠踊りはいろんな地域からの公演依頼もあるので、山鹿市の代表であることを心掛けて踊っている。今後は後継者育成にも力を入れていきたい」と決意を語った。
日本政策投資銀行地域振興部参事役の藻谷浩介さん(43)は「観光客に一円でも多くお金を落としてもらい、一泊でも長く宿泊してもらえるよう、地元商店や観光業者も努力してほしい」とアドバイスした。
コーディネーターの松永幹夫・熊日編集局長は「山鹿にはエネルギッシュな人が多く、市の発展を加速させていくだろう」と締めくくった。(宮崎祥一郎)
●観光基本計画 資源磨き世界に挑戦 「ふるさと大使」も導入
五日、山鹿市で開かれた「地域とともに こんにちは熊日です」の地域フォーラムで中嶋憲正市長が策定を表明した観光基本計画は、山鹿灯籠や鞠智城を核に、国内はもとよりアジア、世界をも射程に入れた具体的な誘客戦略書だ。
合併で大幅に増した同市の観光資源を単に検証・整備し直すだけでなく、磨きをかけて「全国レベル」「世界レベル」に引き上げるのが狙い。そのために必要な努力を、(1)資料館などのハード面(2)住民意識高揚などのソフト面(3)ネット、海外在住者の口コミなど世界へ向けた情報発信などの各方面から具体的に検討し、施策を練る。
策定を急ぐ一方で、着実に手も打ちつつある。山鹿灯籠(とうろう)を、小代焼、天草陶磁器、肥後象がんに次ぐ県内四つ目の国伝統工芸品指定を目指して昨秋、「和紙文化の里」検討チームを設置した。
韓国、中国など四カ国二十チームが参加予定の国際自転車ロードレース「第一回ツールドアジア」の誘致にも成功。同大会の前身となるレースを開いていた韓国と文化的なゆかりが深い鞠智城を会場コースとして、今年六月に行われる。同市は、同大会が日本である場合の開催地の独占を狙うとともに、鞠智城を国際的にアピールすることで国営公園化へも弾みを付けたい考えだ。
さらに「ふるさとやまが大使」も本年度から導入。さまざまな分野で世界中に分厚い根を張る山鹿市出身者や山鹿ファンを「大使」に任命し、市のシンクタンクやセールスマンになってもらい、同市の知名度アップや市政発展を図る。既に海外在住者や芸能、スポーツ分野で活躍する複数の人物に打診中という。
持てる力を見つめ直し、十分に磨き上げて挑む山鹿の“世界戦略”から、しばらく目が離せない。(稲田稔丈)
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