熊本市民病院が問診票を電子化 患者がタブレット入力、疾患名の推測も 4月スタート
熊本市民病院(同市東区)は、今年4月から問診票を用紙への記入からタブレット端末での入力に切り替えた。診察の待ち時間を短縮し、人材不足や残業規制に伴う医療従事者の負担軽減も狙う。デジタル技術の活用で問診を基にした疾患名の推測も可能になる。
初診外来患者の問診にはこれまで用紙を使っていたが、記入漏れや誤記は看護師が聞き取って確認していた。問診票を電子カルテへ入力する作業もあり、業務負担につながっていたという。転院など入院患者の一部にも利用する。
入力は患者自身がタッチ式のタブレット端末を使い、症状や既往歴などの設問に答える。回答に応じて設問が切り替わり、患者ごとに想定される疾患名を人工知能(AI)が参考資料として提示する。問診内容はタブレットから電子カルテに自動で転記でき、看護師の作業が不要になる。
市民病院によると、4月1日から20日までに648人が利用し、最大で1日当たり1時間、看護師の業務時間を短縮できた。専門外の医者の救急対応や経験が浅い研修医の診察に活用して、問診の聞き漏らしの防止にもつなげるという。
4月30日、タブレットで問診票を入力した北区の佐々木信文さん(76)は「スムーズに操作できたが、用紙と比べると設問数が多かった」と話した。
全診療科で端末23台を配備し、事業費はシステム導入費など3800万円。市民病院医事課は「人手不足の解消に向け、今後もデジタルを活用した業務の効率化を進める」としている。(上村彩綾)
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