肌美和(御船町) 馬油化粧品、原料にこだわり 研究・開発力も強化【地元発・推しカンパニー】
「マーユのきみわ」「きみわのマーユ」。御船町高木の国道443号を車で走ると、ラジオCMでおなじみのフレーズが書かれたのぼりが目につく。馬脂を精製した原料で作る「馬油化粧品」の製造に加え、企業のプライベートブランド(PB)やOEM(相手先ブランドによる生産)商品を多数展開する。
1982年創業。前身は健康食品の販売会社だった。馬の脂はヒトの脂と組成が近く、肌になじみやすいとされる。熊本には馬食文化もあることから、馬油化粧品の製造、販売に乗り出した。
熊本県内に専門牧場を持つ馬刺しメーカーから新鮮な馬脂を仕入れ、製造部の社員が色やにおいを基準に厳選。細かく刻んで蒸気熱で溶かし込み、性質の異なるオイルとクリーム計4種類の原料に精製する。馬脂独特のにおいやべたつきを軽減するため、長年試行錯誤して現在の製造法にたどり着いたという。
製造部の大川洋平さん(34)は「加工から商品となるまで一貫して自社で手がける。特に商品の根幹となる原料作りには、職人のような気概で臨んでいる」と胸を張る。
自社ブランドの製品は現在、約20種類。本社店舗や熊本県内の土産店、催事、通販などで販売する。高品質の馬油原料をベースにしたPBやOEMの商品は約280種類まで広がった。
2023年にはスキンケア技術に精通した研究員を採用し、研究・開発力を強化。取締役で工場長の中村泰造さん(51)は「企業の要望に応えやすくなった。さらなる販路拡大につなげたい」と意欲的だ。
近年は、グループ会社で植物由来の油を使ったクリームやせっけんを作るなど、オーガニック製品を好む客層にもアピールする。中村さんと大川さんは「伝統の馬油製品を強化しつつ、より幅広い客層に手に取ってもらえる化粧品をグループ全体で作り続けていきたい」と話している。(枝村美咲)
メモ 従業員は40人(2024年4月現在)。馬油を原材料とした化粧品が主力。23年度の売り上げは、グループ4社で合計約13億円を見込む。
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